不貞行為をしてしまった人、不貞行為をされた人、さまざまな人がこれから先の未来を心配すると思います。
ドラマなどでは、不貞行為が原因で会社を辞めざるを得なくなるシーンがありますよね?
自業自得とは言え、会社を辞めさせられてしまうと生活ができずに困ってしまいます…….。
今回は、不貞行為が原因で会社から処分されることはあるのか、処分された場合の対処法をご紹介してきます。
不貞行為をしたら会社から処分される?
ドラマなどで、不貞行為が原因で会社から処分されるシーンを見たことがある人もいると思います。
しかし、現実世界では不貞行為が原因で会社から処分されるなんてあるのでしょうか?
まずは、処分されるのかどうか、処分されるとしたらなぜなのかを知っていきましょう。
不貞行為を理由に退職処分することは難しい
原則、不貞行為を理由に退職処分にすることは難しいです。
不貞行為はプライベートな話になるため、言ってしまえば会社には関係のない話です。
モラルだとか感情だとか色々な面から考えると、最低な行為で“社会人としてどうなのか!?”と感じる人もいるでしょう。
しかし、法律によって決められておりプライベートなことを会社が処分する権利はありません。
もちろん不貞行為の相手が社内の人間、ということもあるでしょう。
それでも社内の他の人たちが全く気付いておらず、業務や人間関係が円滑で問題がなければ処分されることはありません。
会社はあくまでも“仕事をする場”であり、社員のプライベートなことを罰することはできないのです。
不貞行為を理由に処分される場合
不貞行為をしたからと言って、会社から処分されることは原則ありません。
しかし、あくまでも原則であり処分される可能性もあることは知っておきましょう。
例えば、社内の人同士で不貞行為をし、社内の空気や雰囲気を悪くしたり、業務が円滑に進まない場合。
また、社外の人との不貞行為であっても、会社に著しく損害を与えたり、名誉を傷つけたりした場合などは処分の対象になることもあります。
簡単に言えば、あなたの不貞行為によって会社が何かしらの被害を被る場合、あなたは処分されてしまう可能性がある、ということになります。
まず会社側は事実関係を調査し、あなたに対して口頭で注意をします。
それにより改善が見られない場合は、戒告などの懲戒処分が行われたり人事異動がされたりと何かしらの処分が行われるでしょう。
会社では懲戒事由を就業規則などで定めていることが多く、それに該当するとなればプライベートなことであっても会社からの処分は免れません。
公務員の場合は不貞行為で処分されるのか?
ニュースなどの影響で、公務員は特に厳しい処分が行われるイメージがあるかもしれません。
しかし、公務員と言えど一般的な会社員と同じく不貞行為だけが原因で処分をされることはまずありません。
一般的な会社員同様、不貞行為によって業務に支障をきたすようなことがあれば処分の対象となり得ますので注意してください。
公務員と一言で言っても役人から警察官や消防士などさまざまで、国や市民のために働くことが多いですね。
ゆえに、周りの目が厳しく不貞行為の事実が周りからバレて抗議が殺到する可能性が高いです。
その結果、業務に支障をきたし処分されてしまうケースも少なくありません。
一般的な会社であれば、SNSなどを通じて公表しない限り不貞行為によって抗議が殺到するようなことはありません。
しかし、国や市民のために働く公務員は市民からの抗議を受ける可能性が高く、休職や懲戒などの処分を受ける可能性も高いでしょう。
そもそも不貞行為自体がいけないことではありますが、公務員の場合は不貞行為が原因で処分される可能性は一般的な会社員よりも高く危険だと言えるでしょう。
不貞行為を理由に会社から処分された場合
不貞行為だけが原因で会社から処分をされてしまうことは原則ありません。
しかし、業務に支障をきたしたり社内や組織の雰囲気を悪くしたりした場合は処分される可能性が高いです。
では、処分された場合はどうしたらよいのでしょうか?
ここからは、処分された場合の対処法を見ていきます。
適切な対応かどうか確認する
まずは適切な対応かどうか確認をしていきましょう。
会社側は社員の不貞行為だけが原因で処分をすることは原則できません。
しかし、就業規則などに載っている懲戒事由に該当する場合は、処分を下すことができます。
例えば、不貞行為によって会社に損害がある場合や名誉を傷つけた場合は処分の対象です。
そのため、懲戒事由などに該当するのか、処分は妥当なのかを判断しなくてはなりません。
この処分が妥当であると考えられる場合は仕方ありません。
しかし、処分が妥当でないと考えられる場合は処分を取り消してもらうよう動いていきしょう。
懲戒事由は会社によって内容が異なるため、あなたが務める会社の就業規則などをしっかりと確認して判断してください。
不貞行為以外の理由ではないか確認する
何度もお伝えしますが、不貞行為だけが原因で処分をすることは原則できません。
しかし、不貞行為以外の理由がある可能性も考えられるため、処分の理由をしっかりと確認することが大切です。
例えば、就業中に不倫相手と会っていたり、業務とは関係のないメールのやり取りをしたりしたことはありませんか?
また、不貞行為がバレたことで社内や組織内の雰囲気が悪くなり、業務に支障をきたすなど周りから不満の声が挙がってはいませんか?
これらのことがあった場合、会社側は他の社員のためにも処分をしなければなりません。
また、取引先に不貞行為がバレて会社や社員の信頼を著しく落としたことも考えられます。
処分は原則できませんが、会社や他の社員に何かしらの被害が及ぶ場合はこの限りではありません。
処分されてしまうと生活に困ることもあるため、焦りや苛立ちもあるかもしれません。
しかし、自業自得でもあるためしっかりと自分自身を省みてみましょう。
弁護士などに相談する
処分を受けた場合、一番安心できるのは弁護士に相談することです。
弁護士はさまざまな法を理解しており、感情を抜きに考え対処してくれます。
もしかしたら、あなたは妥当ではないと思っていても、感情を抜きにしてみると妥当である可能性も少なくありません。
また、妥当だと思っていたが妥当ではなかった、という可能性も考えられます。
法に関しての素人があれこれ考えるよりも、法のプロに相談するほうが手っ取り早く確実で安心です。
弁護士などは一般的にはお世話になる機会はなかなかなく、敷居が高く感じられるかもしれません。
近年は無料相談なども実施しており、弁護士事務所を訪れるのが不安な場合は、自治体が開催している無料相談でも気軽に相談することができますよ。
1人であれこれ悩んでいるよりも、早めにプロに相談するのがおすすめです。
不貞行為が理由の懲戒解雇処分の事例
不貞行為だけが原因で処分が下ることはありませんが、懲戒事由などに該当する場合は処分が下ることもあります。
これまでもさまざまなケースで懲戒解雇などの処分が行われてきました。
ここからは、一例として懲戒解雇処分が有効とされたケースや無効とされたケースなどをご紹介してきます。
不貞行為が理由の懲戒解雇処分が有効とされたケース
東京高裁昭和41年7月30日に有効との判決が下った事例です。
とあるバス運転手は妻子ある身でありながら、未成年の女性運転手と不倫をしていました。
これにより女性運転手は妊娠や中絶をし、結果退職することになったのです。
重く受け止めた運送会社はバス運転手を解雇処分としました。
裁判所は、運送会社側の主張を認め、懲戒解雇処分は有効だと判決を下しました。
その理由は「社内の人同士での不貞行為自体が、職場の秩序を著しく乱す行為であり、これによって女性運転手は退職し、他の女性社員に不安を与えた」「求人などに関しても悪影響を及ぼした」とされています。
また、運送会社の正常な運営を阻害したこともあり、懲戒解雇処分は妥当であると判断されたのです。
社内での不貞行為により、相手は退職し人員を減らしたり、職場の業務や雰囲気が著しく悪くなったりしたことで結果は重くなってしまいました。
不貞行為をしている最中は楽しく後先は考えなかったのかもしれませんが、他の社員への影響や会社への影響を考えると恐ろしい行為であり、一瞬で未来を暗くしてしまいますね。
不貞行為が理由の懲戒解雇処分が無効とされたケース
有効とされたケースに対して、無効とされたケースもあります。
旭川地裁平成元年12月27日に無効との判決が下ったケースです。
会社の同僚と不貞行為をしていた女性社員は、不倫した事実が社内だけでなく取引先関係者にまで知られることになり懲戒解雇処分となりました。
しかし、裁判所はこれを無効とする判決を下しています。
理由は「就業規則の“素行不良”に該当するものの、相手の地位や業務内容、会社の規模などを照らし合わせて考えた結果、企業運営に影響を与えたとは考えられない」というものです。
不貞行為による影響力がどの程度だったのか、結果社内の雰囲気や損害はどうだったのかなどを考えて懲戒解雇処分は無効となりました。
もちろん不貞行為自体はいけないことではありますが、原則不貞行為だけで処分ができないように、損害がない限り会社側が処分を下すことはできません。
ただ、懲戒解雇処分が取り消されただけで、周りとの関係が良好なものになることはなく今後のことを考えると自主退職せざるを得なく職を失うことにはなるかもしれませんね。
不貞行為を会社に報告したらどうなる?
不貞行為が発覚した場合、された側が会社に乗り込んでくるなどはドラマなどでもよく見ますね。
しかし、現実世界で実際に行うと罰せられる可能性があるため危ない行為なのです……。
では、不貞行為を会社に報告した場合どのようになるのか見ていきましょう。
不貞行為を会社に報告・相談した場合
不貞行為を会社に報告相談をしても、会社側は基本的には動いてはくれません。
会社側は社員のプライベートに介入することはできず、たとえ不貞行為だったとしても会社側に被害がない限りは動いてはくれないのです。
ただ、会社に報告などをすることで相手の社会的な地位や信用を落とすことはできます。
しかし、それをすることによって報告した側が罰せられる可能性がありリスクが高すぎます。
下でさらに詳しくご紹介していますが、あなたのためにもあまりよい行為とは言えません。
不貞行為をされた側からすれば腹立たしく、特に社内不倫の場合は不貞行為をした2人を地獄に落とそうと会社に言いたくなる気持ちは分かります。
どんなにきれいごとを言っても仕返ししてやりたいと思うのは人間として当たり前の心理です。
しかし、あなたが相手と再構築を検討しているのであれば、相手の地位や信用を落とすことはあなたの利益にもならず、あなたも一緒に落ちることになります。
不貞行為をした相手は法できっちりと裁いてもらい、あなたはキレイな身でいてほしいと思います。
不貞行為を会社に報告した場合は名誉毀損になる?
先で不貞行為を会社に報告すると罰せられる可能性があるとお伝えしました。
例えば、名誉棄損罪や威力業務妨害罪などに問われる可能性があるのです。
あなたが会社に乗り込んで同僚などもいる前で不貞行為を報告した場合、名誉毀損罪として扱われます。
また、会社に乗り込んで暴れたり叫んだりした場合は、威力業務妨害罪として扱われるのです。
このように罪になる可能性があり、リスクが高いと思われます。
また、不倫相手に謝罪を強要したり脅迫したりしてもいけません。
これは強要罪や脅迫罪にあたる可能性があるからです。
不倫をされた側はとても悔しくツラく腹立たしいことですが、やられたからといって何をしても良いわけではないことは忘れてはいけません。
社内の怪しい二人を告発した場合
社内でやたらと仲が良さそうな男女っていますよね?
怪しいと思っていたら不倫関係だった、なんてことも少なくありません。
ただ、“怪しい”だけで告発するのは危険で、ただ仲が良いだけで不倫関係になかった場合は名誉棄損になる危険性もあります。
だからと言って証拠を押さえるために盗聴や盗撮、尾行などは犯罪ですからしてはいけません。
ただ、怪しい二人がいることで業務に支障をきたしている場合は、上司に報告をしたほうが良いかもしれません。
例えば、勤務中に業務を放って二人で会っていたり、不倫関係によって他の社員が不当な扱いを受けることになったりする場合です。
この場合は「二人の態度や行いが目に余る」と、業務に支障をきたしていることを伝えましょう。
間違っても「不倫してるに違いない」などと言ってはいけません。
不倫しているかもしれない可能性は置いておき、業務に支障があるかどうかで考えてそれを堂々と上司に報告すればよいのです。
会社はあくまでも仕事をする場所であり、その仕事をまともにできない環境なのであれば上に訴えることが大切です。
浮気相手が自主退社した場合どうしたらいい?
自主的に退社(退職)する場合、別にどうすることもありません。
例えば退職することで、慰謝料が払えないや連絡を断とうとしている場合などは問題がありますが、基本的に逃げることはできないでしょう。
また、会社側も不貞行為が分かったからといって退職を促すようなことはできません。
もちろんあまりに目に余る場合や被害が大きい場合は別ですが、基本的には退職を促すことはできないためそのままになるでしょう。
また、不倫が会社にバレた場合、社内でウワサが周り不倫していた事実を他の社員も知ることになります。
常に好機の目で見られ、陰口を言われ信頼を失った状態で会社にしがみつけますか?
相当にメンタルが強く心臓に毛が生えていない限り難しいでしょう。
ただ、残されたほうは会社に不倫がバレている場合は何かしらの処分があるかもしれません。
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まとめ:解決しない場合は弁護士など専門家に相談を!
今回は、不貞行為をした場合の会社からの処分についてご紹介してきました。
基本不貞行為だけでは会社から処分が下ることはありません。
しかし、会社や他の社員に被害が及ぶようであれば処分が下り、最悪の場合懲戒解雇も考えられます。
また、不貞行為を会社にチクった場合は名誉棄損や威力業務妨害などに問われる可能性もあるため、絶対にしないようにしましょう。
不貞行為をしたことはいけないことですが、問題が解決しない場合は弁護士などの専門家に相談するのが一番早く確実で安心ですよ。