冬から春に旬と言われているマテ貝。
あまり市場に出回っていないため、食べる習慣はないと思いますが、味はアサリより濃厚で、おつまみにも最適と言われています。
一見、貝と言えば寄生虫を想像しますが、マテ貝にも寄生虫はいるのでしょうか?
そこで今回は、マテ貝の寄生虫の有無や危険性、食べ方や下処理の方法などを解説していきたいと思います。
マテ貝にアニキサスなど寄生虫はいる?
マテ貝を食べる上で、一番気になるのアニキサスなどの寄生虫はいるかということではないでしょうか。
寄生虫が体内に入ってしまうと吐き気や発熱、下痢などの症状を発症し、大変辛い思いをすることになるため、まずはマテ貝に対する寄生虫の有無を紹介います。
アニキサスはいない
結論から言いますと、マテ貝にアニキサスはいません。
寄生虫の代表格として知られているアニキサスは、体内に入ると食中毒の原因になることがあります。
マテ貝は他の貝と違った印象的な見た目から寄生虫がいると言われたり、マテ貝自体が寄生虫と言われることもあります。
しかしマテ貝にアニキサスのような寄生虫はいませんので、安心して食べることができると言えるでしょう。
マテ貝に寄生虫は付着しづらい
マテ貝にアニキサスのような寄生虫がいないことはわかりましたが、他の貝や海に生息する生き物には寄生虫がいる可能性があるのに、なぜマテ貝にはいないのでしょうか?
それは、マテ貝が生息する環境や食性などが関係しています。
マテ貝は主に砂泥底に生息し、プランクトンなどを食べる生活をしています。
砂泥底にはアニキサスのような寄生虫は生息していないため、マテ貝が寄生虫のいる環境に接触していないということから、マテ貝には寄生虫が付着しづらいと言えるでしょう。
寄生虫以外の様々な生物が付着していることがある
マテ貝には寄生虫はいませんが、寄生虫以外のさまざまな生物が付着していることがあります。
その代表格と言えば、
- カサネカンザシ
- ワレカラ
- ユウレイボヤ
が挙げられます。
【カサネカンザシ】
カサネカンザシは、北アメリカなどに生息していた外来種ですが、近年では船舶などを介して日本でも生息しています。
カサネカンザシのエサは主にプランクトンなので、もし誤って食べてしまっても人体に影響はありません。
ただ、ヘドロのような臭さや独特な柔らかい食感から不味いとされており、美味しいと言われているマテ貝と一緒に調理してしまうとマテ貝の美味しさが半減してしまいます。
そのため、基本的には綺麗に取り除いてから食べることがおすすめです。
【ワレカラ】
ワレカラは、海に生息する生き物で甲殻類に分類されており、見た目からわかるようにエビに近い生物です。
ワカメなどの海藻や貝に付着している場面をよく目撃され、特に毒性もないため、体内に入っても問題ありません。
しかし、物にくっつく性質を持っており、食べると口の中や食道に張り付く恐れがあるため、取り除くか食べる前に調理することをおすすめします。
風味はエビに近く、食感はエビの殻を食べているような感じなので、調理の仕方によっては美味しく食べることができるでしょう。
ただし、ワレカラは甲殻類に分類されるためエビアレルギーを持っている方にはアレルギー反応が出ることがあるため注意が必要です。
【ユウレイボヤ】
ユウレイボヤは「海のパイナップル」と言われるホヤの仲間です。
夜になるとぼんやりヒカルことから「ユウレイ」と名付けられており、旨味もあり食材としても有名なため、食べても害はないと言われています。
しかし、大きさからも普通のホヤに比べて食べ応えはありません。
これらの生物はマテ貝の殻に付着していることが多く、人体に入っても影響がないものが多いですが、より美味しくマテ貝を食べるには調理前に殻から剥がして置くことがおすすめです。
マテ貝の危険性は?
マテ貝は安全に食べることができるとされていますが、実は危険性も潜んでいることがあります。
ここでは、マテ貝の危険性について紹介していきます。
貝毒による食中毒
貝毒とは、主に二枚貝が食べる植物プランクトンに含まれる毒素のことで、マテ貝の体内に蓄積され、人が食べることで食中毒を引き起こすことがあります。
貝毒には、
- 下痢性貝毒
- マヒ性貝毒
の2種類があり、下痢性貝毒は食後30分から4時間で発症し、下痢や吐き気、腹痛などの症状が出現します。
一方、マヒ性貝毒は食後30分程度で発症し、下や唇、顔面、手足のしびれ、運動失調の症状が出現し、重症化すると命に係わることもあるため、緊急性が高いでしょう。
死んだ貝を食べることによる食中毒
マテ貝だけではなく、他の貝にも言えることですが、死んでしまうと体内で細菌が繁殖し、腐敗が進行します。
これを誤って食べてしまうと食中毒になる可能性が高いでしょう。
死んですぐの場合は、調理すれば食べることができますが、死んで翌日からは食中毒になってしまう危険性が高まるため、やはり死んだ貝類を食べることはおすすめしません。
そのため、貝類を食べる際には、新鮮なものを選び、適切に調理することが重要です。
また、貝毒の心配があるマテ貝は海域で採取したものと言われているため、海域で取れたマテ貝を食べるのはやめましょう。
食べすぎによる食中毒
マテ貝を食べすぎると嘔吐などの症状が現れる可能性があります。
マテ貝など二枚貝には、食物連鎖の過程の中で毒素が内臓に蓄積している場合があり、それぞれに含まれる毒素の量が少なくても、少量の毒素を含む貝をたくさん食べることで人間の体内で毒素が濃縮されてしまいます。
結果、嘔吐など食中毒のような症状が出現することがわかっているため、大量にマテ貝を採取したとしても、1日で食べきることはせず、適量を食べるようにしましょう。
マテ貝の食べ方は?下処理の方法も解説!
マテ貝は美味しいという情報はあるものの、「どのように食べればいいの?」と思っている方も多いでしょう。
美味しいけれど下処理の方法をきっちりしておかないと、食中毒の原因になる可能性もあるということで、ここではマテ貝の下処理の方法を紹介していきます。
下処理①砂抜き
一部でマテ貝に砂抜きは必要ないという情報もあるようなのですが、マテ貝は潮干狩りで採取できる貝でもあるため、砂抜きをせずそのまま調理をしてしまうと、食べた瞬間に「じゃリッ!」と砂を噛んでしまう可能性があります。
そのため、砂抜きをする法が美味しく食べられるということで、砂抜きの方法を以下にまとめました。
①マテ貝をボウルかバットに入れ、塩分(濃度は3%、水200mlに対して塩5g(小さじ1杯)をヒタヒタに入れて一晩(常温で6時間以上)置く。
②砂抜き中に一度、塩分を入れ替える
これは、マテ貝が吐いた汚れや砂を吸い込まないようにするためです。
③砂抜き後、流水で優しくマテ貝同士を擦り洗いして殻の表面についている砂を流す
以上です。
すぐに砂抜きができるわけではないため、採取したその日に砂抜きをしておけば、次の日には食べられる状態になっています。
下処理②塩抜き
砂抜きで使っていた塩水をマテ貝が吸ってしまっている可能性があるため、塩抜きも必要だと思いますが、マテ貝については他の貝と比べてあまり長時間の塩抜きは必要ありません。
理由は、マテ貝が塩分に弱いという性質を持っているからです。
マテ貝の採取方法は塩を使い出てきたところを取るのですが、この原理はマテ貝が塩に弱い性質を使っているから。
上記のことから、マテ貝はあまり塩を吸うことがないため、砂抜きをしたマテ貝を流水で洗うだけで食べられるようになります。
それでも、気になるという方は砂抜きした後のマテ貝をザルなどにあげて、30分~1時間おくと塩分が抜けて塩辛さが和らぎます。
採取したマテ貝を流水で洗い、50度のお湯に15分付け置きしておくことで、砂抜きと塩抜きが同時にできます!
別々にするのが面倒くさい!と思う方はぜひ参考にしてみてくださいね。
ただし、お湯が50度以上になるとマテ貝が死んでしまい、温度が低すぎてもあまり効果がありません。
また、長くお湯につけておくとマテ貝が弱ってしまうため、15分以上は付けないこととお湯の温度に気をつけて試してみてください。
しかし、実際に50度のお湯に付けて調理した方の体験談では、「旨味も一緒に抜けてしまった気がする」という声もありましたので、どちらでするかは個人の自由です。
下処理③磯臭さが苦手な人は内臓を取り除く
マテ貝は独特の礒臭さがあります。
この臭いで吐き気がするという声もあるのですが、その臭いの原因となっているのは内臓です。
内臓を取り除くと礒臭さが軽減されてるため、臭いが気になる方は内臓を取り出しましょう。
以下に内臓を取り除く手順をまとめました。
①ナイフで貝殻を開き、蝶番部分を切る
②身を取り出し、ひもの部分を切り出す
③身を縦に切り込みを入れて内臓を出す
④塩を入れて軽くもみ、流水で洗い流す
⑤キッチンペーパーで水分を拭き取る
ここで注意して欲しいのは④の塩を入れて軽くもむ部分なのですが、塩でもみ過ぎると旨味も一緒に流れてしまうため、塩もみは軽めということを念頭に入れておいてください。
刺身やバター焼きが定番!
マテ貝の下処理が終わったらいよいよ調理です。
マテ貝を美味しく堪能できる料理方法は「刺身」や「バター焼き」が定番だと言われています。
そこで、刺身とバター焼きのレシピを紹介しておきましょう!
①マテ貝を綺麗に洗う
②殻にそって切り、身と殻をわけワタは削除
③さっと湯通しし、完成
④そのままで食べても良いですが、生姜醤油で食べるても美味です
【材料】
・マテ貝:5~10本
・ニンニクスライス:1個分
・バター:10~15g
・酒:大1くらい
・醤油:少々(回し掛ける程度でOK)
【調理方法】
①マテ貝を綺麗に洗う
②フライパンにバター・ニンニクスライスをおきバターが溶け、ニンニクが香り出したらマテ貝を入れる
③酒を振りかけ、蓋をする
④マテ貝が開いたら醤油を回し入れて完成
とっても簡単で、マテ貝の美味しさを感じることができるレシピなので、ぜひ試してみてくださいね。
マテ貝が死んだときの見分け方は?
調理をする際に、気をつけてもらいたいのが死んだマテ貝を食べないことです。
誤って死んだマテ貝を食べてしまうと食中毒症状を引き起こす可能性があります。
しかし、死んでるのか生きてるのかわからないという方も多いはず。
そこで、マテ貝が死んだ時の見分け方を紹介していきます。
マテ貝が死んだ時の見分け方はいくつかあるのですが、まずは、マテ貝を水に浸して反応を確認してください。
生きているマテ貝は塩をかけると引っ込める反応を見せますが、反応がない場合は既に死んでいる可能性が高いでしょう。
次に、臭いの確認です。
死んだマテ貝は特有の腐敗集を放ちます。
生のマテ貝は海の香りがしますが、死んだマテ貝は腐敗が進むに連れ、硫黄臭やドブのような不快な臭いが強くなるため、この臭いが感じた場合は、食べないでください。
また、反応や臭いだけではなく殻の状態も重要で、生きているマテ貝は殻がしっかりと閉じていますが、死んだマテ貝は殻が開いたままになっていることが多いです。
殻が開き中身がダランと出ている場合も死んでいると考えて良いでしょう。
これらの方法を組み合わせることで、マテ貝が死んでいるのか生きているのか確認することができるため、試してみてくださいね。
「マテ貝 寄生虫」を調べている人がよく思う質問
まとめ:
今回は、マテ貝の寄生虫の有無や食べ方、下処理方法を紹介してきました。
マテ貝にはアニキサスのような寄生虫はいませんが、その他の生物が付着していたり、貝毒を持っているなど危険性もあります。
そのため、マテ貝を食べる際には、しっかり下処理をしてから食べるようにしましょう。
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